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竣工写真は完成した
「今」しか撮れないもの。
良いところを
できるだけ見つけて
残したいと思うんです。

建築写真の撮影には駆け出しのアシスタント時代から携わってきました。よく手伝っていたものは広角撮影がメインで数枚しか撮らず、細かい部分撮影はありませんでした。もちろん、それは絶対にハズしてはいけない、押さえるべきカットではあります。

ただ、実際の現場には、「ここカッコイイのに」「ここはもっとグッと寄ってみてたら」と感じる部分と瞬間がいくつもある。店舗の看板の造作が凝っていたり、天板が分厚かったり、壁紙が手書きだったり。また、住宅の廊下にすごくいい光が差し込んでいたり、カーテンが風に揺れる影が美しかったり、窓から見える緑が建築の一部に見える。

だから自分が独立してから頂いた竣工撮影の仕事では、そういうイメージカットも含めて撮影しました。そうしたら、関係者皆様がとても喜んでいただいたので、この撮影スタイルに確信が持てました。以来、現場に入ったら自然に、自分がいち観察者として客観的にステキ探しを始めるようになりました。

建築物は完成するまでにたくさんの人や会社、時間、思いがこもっている、そしてその完成竣工撮影はその時にしか撮れないもの。いわばその人、その会社の歴史になること。その価値を感じていただけるのは、もしかしたらずっと先なのかもしれないけれど、撮り直しのきかないものだからこそ、プロとしてきっちりと写真に残したいなと思っています。

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